ますざぶ戦国群雄伝

【第六章 囮と罠】


安心軍支城・虎阪城。砂地に覆われた要害の城である。この城を攻略するのは難解であるが、陥せば重要な拠点となる事に間違いない。その虎阪城に色縞軍の軍勢が向かっているはずなのだが、色縞の軍勢は見当たらない。見られるのは一人の武将のみである。


「殿、色縞の旗印を持った将がこちらの城に向かってるそうです」
「何だと?」


安心軍は丁度、虎阪城にて次の戦の為の補給を行なっている最中で、総大将や主だった武将が揃っている。


「確認出来るか?」
「拙者が行きましょう」
「頼む」


安心軍の武将、アファームドBが物見に向かい望遠鏡で覗き見る。


「・・・ややっ!あれは、俊哉殿か・・・!?」


アファームドBにとって俊哉は先の戦争で、共に戦った武将である。


「・・・しかし、随分と派手ないでたちであるな・・・」
『おっ、アファームドB殿!拙者でござる』
「俊哉殿、それは一体何の真似でござるか?」
『・・・えーっと・・・色縞軍が嫌で抜けて来たのでござるよ。これこの通り、永遠プロムナードの鎧を土産にと盗んで参ったと言う事じゃ』
「何が嫌で抜けて来たので?」
『だって、アニソン☆めたもるふぉーぜを中々更新しないから・・・』
「(えー・・・そんな理由で?)」
『とにかく拙者は降伏って事で門を開けて下さらぬか?』
「・・・ちょっと待つでござる」


虎阪城の門がゆっくりと開いて、俊哉がノロノロと城門へと向かう。その瞬間、前以て砂の中に隠れていた色縞軍が姿を現す。


「かかったぞ、行け!」
「突撃!!」
「な・・・何!?」


城門から一斉に安心軍が雪崩れの様に色縞の軍勢に向かって来る。総大将・葛西彰広を先頭に突撃して来る。先鋒の琉球隊が浮き足立つ。


「読まれた・・・!?」
「愚か者が!俊哉がそちらの軍勢に居る時点で警戒しておったわ!」
「俊哉殿、覚悟めされよ!」
『ギャーッス!助けて下され〜〜!殿〜〜!』
「うるさい!さっきの更新の愚痴もあるし殴られて来い!!」
「敵と味方から疎まれるとは愚かなり、俊哉!」
琉球〜〜!』
「拙僧では、どうにもならぬ・・・御免」


虎阪城の城門前で戦闘となる。色縞軍にとっては予想してなかった事態である。安心軍にとってはある程度は予想してた事である。最悪でも俊哉の囮が失敗したとしても籠城戦になり、根気強く攻めればどうにかなると思っていた。そして囮が成功したら城内へ突入しての戦いになると読んでいたのだが、そのどちらでもなく、中途半端な城門前での戦闘になってしまったのは誤算であった。


そして色縞軍にとって虎阪城を甘く見ていたのも誤算の一つである。虎阪城は実は地下の施設に力を注いでいる。
その為、敵が砂に隠れる事は既にお見通しだったと言う事で、地下から見張り穴が設置されていたのであった。


「俊哉よ、感謝するぞ・・・お主の謀略を我々が学んだ様なものであるからな!」
「この程度の卑劣な作戦、屁でもないわ!」
「安心軍は、今までと違って警戒心が強まっておったと言う事か・・・」
「退けい、退けい!」


安心軍の誇る猛将、車雷流の部隊が色縞軍の山下まさよし隊を撃破する。次鋒の涼風刹那隊が援護して山下隊の退却を支援する。そして見るも無残に俊哉隊はアファームドBによって蹴散らされる。そのアファームドBの後方から、残りの部隊が一気に色縞軍を殲滅させんと向かう。


「よし!この戦さ貰ったぞ!」
「今じゃ!鉄砲隊、前へ!」
「何と・・・!?」


色縞軍が手にしてた刀を捨てて砂地に隠してた鉄砲を一斉に拾い上げる。


「撃てーーーっ!!」
「うわあー!」
「ははは!撃て撃て!敵は前方のみじゃ、照準を合わせる必要は無いぞ!」
「ぐっ・・・!」
「ぬおおお!」


色縞軍の銃撃によって、敵将のギニョール、下村ゲソン、ツルマル慶応ボーイ、ライデン飯田ー、ソングの部隊が次々と銃撃の餌食とされる。


「こ・・・これはたまらん・・・撤退!全軍撤退せよ!」
「駄目です!城門は敵の涼風刹那によって抑えられました!」
「えぇい・・・謀ったつもりが謀られるとは・・・これも俊哉の策か・・・」
「否・・・これはワシの策じゃ!敵を欺くには味方を欺くのも一つの手じゃからな!」
『えぇー?・・・拙者、やられ損じゃん・・・』
「あんただけ0pだったもんな」
「うんうん」


こうして、虎阪城攻略戦は勝利を飾る事が出来た。安心軍は引き際鮮やかに居城へと撤退して行くのであった・・・。


「此度の戦さ、皆ご苦労であったな」
『大殿・・・もしや、釣り野伏せは・・・』
「うむ。すまないと思うが、俊哉も琉球も涼風も山下も全て囮にさせてもらった」
「俊哉殿に申し訳無いと思うておったが、琉球殿、涼風殿、そして拙者の内の誰か一人が城門に辿り着く事だけを殿から申し付けられてたのですよ」
「城門付近での戦闘は考えておらなんだが、敵が城門から出るだろうとは予想しておった。だったら最初から城門を抜けるのでは無く、状況を見て閉じてやろうと思うたのじゃ恐らく安心軍は虎阪城と、この地形に対して絶対的な自信を持っておるのでは・・・と考えてのう」
『・・・つまり、籠城戦は得意だが野戦は向いてない・・・と言う事を?』
「その通りじゃ。まあ、結果的にお主の得意とする謀略を囮として、囮を罠に使わせてもらった事じゃな」
『・・・恐れ入りました。流石、大殿』
「のははは、なんのなんの」
アニソンの更新、忘れないでね』
「・・・」


虎阪城に入城しようとする永遠プロムナードを尻目に、俊哉は皮肉を一言だけ述べてから先に入城した・・・。 (つづく)